美味しいだけでは売れない。 「安都佐」さんと目指した「せめんだる」復活。
2022年に会社の倒産により消滅した山陽小野田市の伝統の銘菓「せめんだる」。人々が豊かさを享受している現在、地域性が込められ、味覚の優れた商品であっても表現が時代にマッチしていなければ、残念ながら選ばれない時代になっています。つまり、「美味しければ売れる」という従来型の安易な概念では、今後も地場産業の衰退はますます進むと予測できます。今こそ、地域の魅力を磨き、発信するためにデザインという魅了する文化に着眼し、商品を世に送り出すべきだと考えています。
デザインの力で産業の礎を今に繋ぎ、魅力を再構築。
私どもは“感性をもって経済に貢献する”という信念をもって活動しています。この度のせめんだる復活に向けてはデザイナーの職能である魅力を創造し具現化できる力をもって、地域の宝を再生させることで山陽小野田市の未来を描くミッションを掲げ取り組みました。
私どもが今回「復刻せめんだる」の提案を持ちかけたのは、2021年にオープンした極みの食パン「安都佐」さんでした。この「安都佐」さんのオープン時にデザインサポートを行なった実績が信頼感となり、伝統の銘菓「せめんだる」の復活が実現できました。「安都佐」さんは美味しいあんこ作りに奔走され、あんこの神様小幡先生との出会いを引き寄せられました。私どもは新たな生命を吹き込むべく、全身全霊を傾けてブランディングに取組み、セメントの歴史をストーリー化し、パッケージ、販促物、ホームページに展開させ、「復刻せめんだる」として時代性を備えた魅力へと再構築させました。
デザインコンセプト
「復刻せめんだる」のパッケージには小野田セメントのセメント袋に明治時代に記してあったドラゴンマークと国の重要文化財である徳利窯を表現し、故郷の産業の礎を今に伝える銘菓に磨き上げ、懐かしくて新しいデザインに仕上げました。